家づくりしていると不安なことがいっぱいありますよね。
家づくりで不安になる一番の原因が「姿が見えないこと」ではないでしょうか。
多くの方が何十年とローンを組み、多額の費用を支払って家を建てるにもかかわらず、実際に建つ予定の家の姿がイマイチよくわからない。
図面はあるけど、二次元的な図面だから完成した家が想像できない。
本当に想い描いていた家になるのだろうか。
部屋は狭くないだろうか。
使い勝手は悪くないだろうか。
などなど…
そんな不安な気持ちはよーーくわかります。
だって、手元にある情報はペラペラな二次元の図面だけなのですから。
四角形を並べた平面図(間取り図)の中ではうまく配置されたように見える家具たちも、「高さ」が加わり3次元の姿に変わると全く違う印象に変わります。
もちろん完成した家が自分たちの想像を超えて更なる感動を与えてくれることもあります。
しかし、多くの場合は逆です。
「圧迫感がすごい」
「想像より狭い」
「使いにくい」
「ああすれば良かった」「こうすれば良かった」と後悔する人の方がはるかに多いことが現状です。
なので、そんな後悔をしないためにも「自分で」間取りのシュミレーションをする術 をお伝えします!
住宅会社によっては平面図を3Dにしたり、イラストを描いて見せてくれる会社もあります。
そのような住宅会社を選んでいたとしても「自分でシュミレーションできる」ということは重要です。
気になったとき、不安になったときの対処法として、自分でシュミレーションすることは非常に有効です。
自分でシュミレーションができないから、いつまでも不安がつきまとい、検証ができないから完成した後に後悔してしまうのです。
シュミレーションができるようになると、
間取りの失敗を防げるし、
どんなインテリアがいいか検証ができるし、
部屋の広さもわかりやすくなります。
自分で検証でいるようになると、どんどん家づくりが楽しくなっていきます。
簡単にできるので、ぜひ皆さんも試してみてください。
具体的なシュミレーションのやり方はこちら↓の記事で説明していますので、ぜひそちらをご覧になってから読み進めてください。
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こちら↑の記事では平面図の間取り全てを3Dに描き変える方法をお伝えしましたが、
今回の記事では平面図の中の1部屋を3Dに描き換えてシュミレーションする方法を紹介します。
リビングダイニングキッチンや玄関、寝室、子供部屋などこだわりが強い1部屋に集中してシュミレーションすることができます。
1部屋に絞って検証することで、部屋の広さや家具の配置、配色など具体的なシュミレーションをすることができます。
やり方は先程の記事で紹介している家全体を3Dに描き変える方法とほとんど変わらないので、一緒にマスターしておきましょう!
「間取り図を3Dに描き変える」とは?
建築で使われる図面の多くは二次元の平面な図面で描かれています。
図面を見慣れているプロの建築士なら二次元の図面でも広さや大きさなどの空間を把握することができます。
ですが、本当に空間を把握しないといけないのは、その家に住むお客さんです。
図面を正確に読み解けずに曖昧な状態で家を建ててしまうから、あとで後悔してしまうのです。
住宅会社の言葉だけを信じて建ててしまうから、あとで「言った」「言ってない」とモメる原因になってしまいます。
そうならないためにも図面に「奥行き」をつけてシュミレーションできるようになりましょう。
ちなみに、奥行きがある絵のことを建築業界では「パース」と言っています。
皆さんにはそのパースを描けるようになっていただきます。
こだわりの1部屋を3Dに描き変えるやり方!
家全体のパースの描いたときは家の中心に「×」マークを描きましたが、1部屋をピックアップして描く場合は立体化させたい部屋の真ん中に「×」マークを描きます。
家全体の描き方との違いはそれくらいです。
その後の描き方はほとんど一緒です。
なので、前回の記事で紹介しているパースの描き方をマスターすると、今回の1部屋のパースもサクッとかけてしまいます。
ぜひ、そちらの記事↓でパースの描き方を理解してから続きをご覧ください。
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ざっくり流れを紹介していくと、
↑壁の下書きをして
↑壁の線を清書します。
↓今回は畳スペースがあったので、そのスペースだけ1段高く描いています。
↓窓を描くときも、高くした床に合わせて描いていきます。
↑建具の下書きが終わったら、図面にある家具や家電も下書きします。
清書をするときは
家具家電
↓
壁の隅の線
↓
建具
↓
床と壁の取り合いの線
の順番で描いていきます。
家具家電の清書
壁の隅の線の清書
建具の清書
床と壁の取り合いの線の清書
ちなみに、見本の下書きはフリクションを使っているので、アイロンやドライヤーで温めるとキレイに消すことができます。
あとは色を塗って完成です!
最初の図面と比べてもわかりやすさが桁違いですよね!
家具家電を描き込むことで、
部屋が狭くないか
通路が狭くないか
使い勝手は悪くないか
コンセントの位置や数は問題ないか
など、暮らしやすさのシュミレーションをすることができます。
色を塗ることで、
フローリングや壁紙、家具などの色合いの確認
インテリアの確認
などデザイン性のシュミレーションをすることができます。
↑先程の見本と比べて、暗めな配色でまとめると大人っぽい雰囲気の部屋になることが分かります。
また、畳スペースのように壁紙の色の検証もすることができます。
平面図に家具が描いてないときは自分で描き込もう!
平面図には家具が描き込まれていないこともあります。
そのようなときは自分で家具を描き込んでいきましょう。
描き込むときには気をつけてほしいポイントがあります。
家具の大きさはできるだけ正確に描いてください。
前回の「パースの描き方の記事」でもお伝えした通り、このパースでは「高さ」は大体の大きさしか描けませんが、「幅」と「奥行き」は正確に描くことができます。
まずは平面図に家具を設置します。
描き込む家具は「幅」「奥行き」「高さ」の寸法を把握しておきましょう。
平面図に家具を描き込むときは、家具を上から見たときの寸法で描きます。
また、平面図は地図と同じで「縮尺」を設定して描かれています。
住宅の平面図では
1:100(1/100)
1:50(1/50)
1:30(1/30)
の縮尺で描かれていることが多いです。
(縮尺は図面に記載があります。)
家具を平面図に描き込むときはこの縮尺に合わせて描き込みます。
縮尺1:100(1/100)のとき、1m(1000mm)は図面上では1cm(10mm)
縮尺1:50(1/50)のとき、1m(1000mm)は図面上では2cm(20mm)
縮尺1:30(1/30)のとき、1m(1000mm)は図面上では3.3cm(33.3mm)
といった具合に図面の縮尺に合わせて変換して描き込みます。
ここで縮尺を考えずにテキトーな寸法で検証してしまうと、
シュミレーションでは設置できていた家具が設置できなかったり
通路が狭くなってしまったり
圧迫感が強くて邪魔になってしまい後悔する可能性が高くなります。
シュミレーションをするからには正確さが重要です。
縮尺を考えるのは少し面倒ですが、きちんと計算しましょう。
拡大コピーした図面でパースを描いている場合は、拡大すると縮尺が変わってしまうので、拡大コピーする前に家具を描き込みましょう。
このパースでは「高さ」を正確に表すことはできませんが、他の家具や扉などの大きさと比べて、いい感じのバランスで描くとシュミレーションしやすくなります。
自分で家具を描き込めるようになると、いろいろな家具やインテリア、配置で検証ができるようになります。
・この家具をひとまわり大きいものにしても問題はないか
・模様替えして家具の配置を変えたらどうなるか
・違うデザインの家具に変えたらどうか
など、どんどんシュミレーションの質が上がっていきます。
ぜひ挑戦してみてください。
もっと簡単なパースでも効果はバツグン!
先程のパースはより具体的にイメージできるように、しっかりと描き込みをしましたが、もっと簡単に描いても十分にイメージを掴むことができます。
例えばこちらの図面↓
このリビングダイニングキッチンも同じようにパース化したものがこちら↓
机や椅子、ソファー、棚など、最初のパースと比べて簡単に描いていますが、これでも十分に部屋のイメージが掴めると思います。
「絵が苦手」という方はこちらのパースのように家具や家電を直方体で描くのがおすすめです。
細かく描かなくても「ここにはモノがある」と直方体で設置するだけでも十分にイメージできるし、検証できます。
なにより、直方体は定規で描けるので誰でもいい感じに描くことができます。
人を描くとさらにわかりやすい!
小さめの部屋を設計している場合は「本当にその広さで大丈夫なのか」と不安になってしまいますよね。
そのようなときは「人」も一緒に描くと広さのイメージを掴みやすくなります。
例えばこちらの洋室(B)↓
おそらく子供部屋ですが、4.5帖となると狭すぎないか不安になりますよね。
この部屋をパース化したものがこちらです↓
人を描き込むと、さらに部屋の大きさがわかりやすくなりますよね。
人を描き込むときも、家具を描き込むときと同様に、平面図に上から見た人を描き、高さを加えていきます。
平面図では4.5帖で狭すぎないか心配な部屋でしたが、パースにしてみると、子供部屋としてなら十分に使えそうな部屋だということが分かると思います。
ですが、クローゼットとバルコニーの出入り口のせいで、今のベッドと机の配置でしか使えなさそうです。
また、クローゼットの折れ戸がジャマでこれ以上、本棚などの家具を増やすことも厳しそうです。
この部屋の場合はクローゼットの折れ戸を三枚引き戸に変更した方が使い方の可能性が広がりそうですね。
契約は図面の内容でおこなわれる
平面図(間取り図)は慣れていないと読み解くことが難しいです。
多くのお客さんは部屋の並び順をなんとなく見ているだけという方がほとんどです。
平面図の見方がわからなくても営業マンが説明してくれるかもしれません。
ですが、最終的な契約は 図面の内容 で交わします。
完成した家が打ち合わせの内容と違って「営業マンがこう言ってたのに!」と抗議しても、契約書と図面にその内容が記載されていなければ、相手にしてもらえません。
図面の内容が全てなのです。
だからこそ図面を吟味する必要があるし、そのためには検証しやすいように描き変える必要があるのです。
平面図を立体化すると気付きがたくさんある
図面を見慣れていない方にとって、パース化(立体化)できることは大きなメリットになります。
先程の4.5帖の洋室をパース化して、具体例をやりましたが、
二次元の平面図では良い感じに見えても、パースにしてみると改善点がいくつも見つかりました。
頭の中だけで考えても混乱や不安が増すばかりです。
プロの建築士でも設計するときは手で描いて考えています。
もちろん今回のように3Dに描き換えて考えることもあります。
プロでも大事なことを決めたり、確認するときは手を動かして考えていますので、あなたも必ず手を動かして検証していきましょう。
あなたが住む家を、あなたが検証することは本来、当たり前のことなのですが、多くの方は他人任せにして、あとで後悔しています。
ぜひ自分でシュミレーションをして後悔しない家づくりを進めていってください。