「旗竿地」というのは土地の形の名称のことで、別名「旗竿敷地」「袋地状敷地」「敷地延長」「敷延の土地」と言われることもあります。
旗竿地は分譲地のような四角形の綺麗な土地(整形地)と比べていくつか気をつけておきたいポイントがあります。
何も知らずに家を建ててしまうと失敗の原因になってしまいます。
旗竿地のメリットとデメリットをしっかりと理解した上で、土地を選び、デメリットを補う対策をすることで旗竿地のメリットを活かした良い家を建てることができます。
実は、私の実家は旗竿地です。
そのため旗竿地の良い面も悪い面も熟知しています。
実際に旗竿地の実家に20年以上住んでいた私が実体験も元に解説していきます!
この記事の目次
旗竿地とは
「旗竿地」とは道路からの入り口が狭く、奥で広がっている敷地のことで文字通り旗(フラッグ)のような形の土地です。
土地の形状の性質上、道路から入る路地の部分を駐車場として活用することが多く、四方向が建物で囲まれていることもある土地です。
これらにより、きれいな四角形の整形地とは違う特徴があるのでこれから見ていきましょう!
旗竿地のメリット
旗竿地はあまり良くない土地とされることが多いですが、私としては結構魅力的なところも多い土地です。
まずは旗竿地のメリットから見ていきましょう!
価格が安い!
旗竿地は整形地と比べて道路との間口が狭く使い勝手が悪い土地が多いので、土地の価格が安い傾向があります。
同じ場所、同じ広さの整形地と比べて15~20%ほど安いことが多いので、土地代で浮いた分を建築費に回すことも可能です。
静か
旗竿地は前面道路から奥まったところに家を建てるので、道路からの通行人、車の音や気配、排気ガスなどが軽減されます。
庭で子どもが遊んでいても安心
旗竿地では道路から離れたところに庭を設けることができます。
安全面や防犯面でも安心して子どもを庭で遊ばせることができます。
路地の住宅側に門を設置することで、子どもが道路に飛び出してしまうことを減らすことができます。
路地を活用できる
路地(道路から入った幅の狭い土地)を駐車場やアプローチとして有効に活用することができます。
一般的には駐車場にすることが多いですが、車を所有しない場合は花壇や玄関倉庫などを設けることで楽しみながらおしゃれに活用することができます。
庭で「しっかり」趣味を楽しめる
旗竿地に限らずどこの家でも庭で趣味を楽しむことはできます。
ですが、旗竿地では家や庭が道路から奥まったところにあるので、通行人や車からの視線を気にせずにガーデニングや運動を楽しむことができます。
個人的に通行人にジロジロ見られるのが気になるタイプなのでこのメリットは大きいです。
固定資産税や都市計画税が安くなることも
旗竿地は不整形地と言われており、きれいな四角形ではない土地なので、資産の評価が低くなる傾向があります。
そのため、土地の価格が安くなるだけでなく、毎年支払う固定資産税や都市計画税も安くなることがあります。
旗竿地のデメリット
それでは、なぜ旗竿地が一般的に評価が低い土地とされているのか。
これからデメリットを解説していきます。
日当たり・風通しが悪くなりやすい
単純に考えて、接している道路の本数が多いほど日当たりや風通しが良くなります。
整形地は1~4本道路が接するのに対して、旗竿地の家が建つ部分の土地では道路が接しておらず4方すべてに家が建つ可能性があります。
なので、整形地と比べると日当たりや風通しが悪くなりやすいのです。
実際には近所との高低差や敷地の広さ、周りの家の状況によっても変わります。
旗竿地でも日当たりなどが良いこともありますし、整形地でも悪いこともあります。
そのため、実際に現地で体感して確かめることが大切です。
旗竿地で日当たり・風通しが悪い場合、1階部分より2階の方が状況は改善されます。
なので、2階にリビングを設置して、1階は寝室にするなど、プランニングの工夫で改善が見込めます。
路地(駐車場)が使いにくい
路地を駐車場として使用することが一般的ですが、決して使いやすいわけではありません。
消去法的に車を置く場所が路地しかないのでそこを活用していることが多いです。
複数台所有するときは縦列駐車で停めることになります。
家へ出入りするためには車の横を通り抜けないといけないので、知らないうちに車に傷がついていることもあります。
ここで大切なことが、そもそも車を停めることのできる広さがあるか確認しておきましょう。
そして忘れがちなことが、前面道路の幅です。
前面道路が狭い場合、路地に車を停めることが非常に難しくなります。
道路幅員も合わせて確認し、可能ならば実際に車が停められるかやってみると失敗を防ぐことができます。
車を乗り換えて大きさが変わっても停めることができるか意識してやってみてください。
わずかな車の大きさの変化でも駐車しやすさは結構変わります。
また、バイクや自転車を乗り入れすることも考慮して路地の幅に余裕がある土地を選ぶこともポイントです。
私の実家は路地(駐車場部分)がちょうど上のイラストくらいの幅しかありません。
さらに両側にブロック塀があり、前面道路も車1台通る分しかありません。
住んでいる住人は毎日出し入れしているうちに慣れてしまいますが、来客の方は全く停めることができずに苦労していました。
ひどいときはブロック塀にゴリゴリ擦りながら停める方もいました笑
それに加えて、その道路はそこそこの交通量だったので、駐車する際にギリギリまで寄せられて煽られることもしばしば。。
私もよくブロック塀で車を擦っていました。
その代わりに、いやでもバック駐車が上手くなります。笑
建築コストが余分にかかることも
旗竿地は狭い路地の奥が建設地になります。
木造で建方(柱や梁を組み屋根をかける工事)をするときはクレーン車を使って木材を組んでいくことが一般的ですが、旗竿地ではクレーン車が設置できないことが多いです。
敷地内でクレーン車が使えないときは近くに空き地があればそこから材料を吊ることができます。
周りが住宅で囲まれている場合は正面の道路に設置することになるので、道路整備をするなどの費用がかかります。
それもできない場合は大工さんが手で担ぎ上げる必要があるため、人数も時間もかかります。
路地が狭いとそのほかの重機も通れないので、余分な費用がかかってしまいます。
路地の幅と長さをよく確認しておく必要があります。
水道や電気などのインフラ整備では、土地が道路から奥まっているので工事する距離が長くなります。
その分コストがかかりますので、現状で上下水道や電気がどこまで来ているかを確かめておきましょう。
私の実家を建てるときは隣の空き地を借りてクレーン車を利用していたそうです。
それでも今はその空き地にも家が建ったので、今後は建て替えやリフォームに苦労すると思います。苦笑
また先ほど少し触れた庭の門の設置ですが、私の実家の場合、路地部分に石柱の門を設置してしまいさらに路地の幅が狭くなっています。
路地幅が4mくらいあるのに石柱の門のせいでその部分は2mもありません。
そのため小型のユンボも入るかどうか、という状態です。
門や庭づくりではなるべく使える幅を殺さないように取り外しや移動が可能なものにすると、長い目で見て都合がいいです。
外構費が高くなることも
旗竿地では設置するフェンスやブロック塀の距離が長くなる傾向があります。
また、路地部分を駐車場として利用する場合はアスファルトやコンクリートを敷くのに意外と面積が広いのでその分コストが高くなります。
売るときは安くなりやすい
旗竿地を購入するときは安く購入できる傾向がありましたが、その分、売るときは安くなってしまうことがあります。
特に、ここまでに紹介したメリットの部分が少なく、デメリットが大きいような土地では安くなってしまう傾向が強いです。
反対にデメリットで紹介した日当たりに問題がなく、路地が広くて活用しやすい土地では旗竿地でも高く売れる傾向にあります。
まとめ
実際に旗竿地に住んでいた私からしても特に日当たりの悪さと駐車スペースの使いにくさは気になりました。
実家が建った当時は家の南側の隣家が平家だったので、日当たりの悪さは気になりませんでした。
ですが、その家が建て替えで2階建になり、我が家の敷地ギリギリに建ったので、改めて旗竿地の日当たりの悪さを痛感しました。
駐車場の使いにくさも注意してください。
特に、一家に2、3台車を持っていることが当たり前の地域では通勤時間の違いでいちいち車を入れ替えないといけないことがあります。
家を建てた頃は車が1台しかなくても、子どもが大きくなると共働きをして買い足すかもしれませんし、子どもがいずれ車を所有するかもしれません。
少なくとも車が余裕で停められる広さの土地を選ぶことをおすすめします。
じつは、私は実際に20年以上旗竿地に住んでいました。
そんな私の旗竿地に住んでいたときの感想をまとめた記事もありますので、ぜひ合わせてご覧になってください。
こちらもCHECK
-
旗竿地に20年以上住んでみてどうだったかお伝えします!
20年以上実際に旗竿地に住んでいた経験を元に建築士としての目線も加えて、旗竿地がどんなところだったのか解説していきます!
続きを見る