旗竿地(はたざおち)とは土地の形状の名前で、道路からの入り口が狭く、奥の広いところに家を建てるような土地のことです。
ちょうどフラッグのような形の敷地なので「旗竿地」と言われています。
一般的な整形地(土地が道路と接していてきれいな正方形や長方形の土地)と比べて少し特殊な土地とされています。
旗竿地の詳しい説明についてはこちら↓↓で解説していますのでご覧ください。
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参考旗竿地とは?メリット・デメリット公開!
実際に20年以上旗竿地で生活していた私がプロの視線も加えて、旗竿地について解説していきます!
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じつは、私の実家が旗竿地です。
なので、今回は20年以上旗竿地に住んでいた私がその実体験を元に、プロとしての目線も含めてどんなところだったのか紹介していこうと思います。
一般的に旗竿地は敬遠されがちな土地ですが、私としては旗竿地は全然ありです!
確かに不便なところもありますが、それに勝るメリットがたくさんありました。
これから私が暮らしていた旗竿地がどんなところだったか解説していきます。
私の経験を参考にいい家を建ててもらえるとうれしいです。
どんな旗竿地に住んでいたのか
ひとえに「旗竿地」と言っても、土地の方角や広さ、周辺環境などによって良し悪しが全く変わってきます。
なので、まずは私が住んでいた旗竿地の状況をお伝えします。
↑↑こんなところに住んでいました。
路地(旗竿の部分)は結構長く、車を詰めて停めれば3台停める事ができました。
家がある場所は庭がそこそこの広さ確保できており、方角的にも日当たりはそこまで悪くなかったです。
周りは完全に家に囲まれています。
庭にある白い四角は倉庫が建っており、バイクや工具が置いてあります。
旗竿地の良かったところ
それではなぜ私が「旗竿地は全然あり!」と言えるのか。
旗竿地に住んでいてよかったと思えたことを紹介していきます!
庭で「しっかりと」趣味を楽しめる!
一般的な土地でも庭で趣味を楽しむことができますが、旗竿地では「しっかりと」楽しむことができます。
どういうことかというと、旗竿地は道路から離れたところに家や庭があります。
なので、庭で何か作業をしていたり、趣味をしていたり、子どもと遊んでいたりしていても通行人にジロジロ見られることはありません。
そもそも路地に停まっている車が目隠しの役割をしているので庭や家の中を覗かれる心配はほとんどありませんでした。
私の場合は見られていなくても誰か通るだけで気になってしまうので、このようにしっかりと楽しめる環境は嬉しかったです。
庭で子どもが遊んでいても安心
一般的な整形地では道路から庭が丸見えで子どもが遊んでいる状況もよくわかってしまいます。
現代は何が起こるかわからないご時世なので、外部から覗かれるところはで遊ばせるのは少し心配です。
なので、道路に面していない自分たちのエリアで遊ばせられるというのはやはり安心です。
また駐車場と庭の間に門を設置すると、門から道路までの距離があるので、目を離した瞬間に道路に飛び出していた!なんて事故も減らすことができます。
リビングのカーテンが開けられる
道路からの視線が入ってこないので、家のカーテンを開けておくことができます。
我が家では朝から夕方までリビングのカーテンは全開です。
明るい日差しと庭の緑がきれいでとても気持ちがいいです。
一般的に旗竿地は日当たりが悪いと言われていますが、旗竿地に建てる家は道路に面している家と違ってカーテンを開けていられるので、「暗くて困る」ということはなかったです。
一般的な整形地はたしかに旗竿地より日当たりが有利なのかもしれません。
ですが、リビングに大きな掃き出し窓があっても、結局道路から家の中が丸見えになってしまうので一年中カーテンが閉めっぱなしになってしまう家も珍しくありません。
それなら少しくらい日当たりが不利でもカーテンを開けて気持ちの良い環境をつくれたほうがいいのではないかと私は思います。
外の通行人や車が気にならない
私が今住んでいる家や昔住んでいたアパートでは近所の人の出かける物音や車の音、通行人の気配などがすごく気になってしまいました。
知らず知らずのうちにこれが結構ストレスになっています。
周りの人は我が家のことなんて全く気にしていないのでしょうけど、なんか監視されているような気になって心が疲れていました。
実家の旗竿地で暮らしている頃にこの感覚は全くありませんでした。
小学生が登下校している時に大きな声で喋っていたら気がつくくらいで、誰かが通っていることにもほとんど気がつきません。
道路まで距離があるので多少車通りが多くても全く気になりませんでした。
旗竿地の悪かったところ
当然ですが、必ずしもいい事ばかりではありません。
あなたのご家族の生活スタイルによってはこのデメリットが大きなストレスになる可能性もあります。
ぜひご検討の参考にしてください。
車を2台以上所有する場合は要注意!
所有する車が2台以上になると、路地部分(旗竿地の竿の部分)に縦列駐車で停めることになります。
家族が車を利用する時間によっては毎回車を入れ替える必要があります。
例えば、ご主人と奥さんのそれぞれが通勤のために車を所有している場合。
ご主人が先に仕事へ行き、帰宅も奥さんよりも先に帰宅する場合、いつも仕事へ行く時に奥さんの車が前に停まっている状態になります。
このような場合、ご主人が仕事に行く時に毎回奥さんにも一緒に車を出して停め直してもらうか、奥さんの帰宅の際にご主人が車を出して奥さんの車を先に入れてもらうか、いちいち車を停め直す必要があります。
私の実家では子どもが小さいうちはお父さんが早く仕事へ行き、お母さんより遅く帰ってくることがほとんどだったのでそのときは問題ありませんでした。
ですが、子どもが大きくなってからはお母さんの仕事の時間帯も変わり、さらに子どもも車を所有するようになったので入れ替えが多くなり大変でした。
車を詰めて停めれば3台停めるスペースがあり便利でしたが、その分、車の入れ替えが大変でした。
車で出かけたいのに自分の車が3台目で、家にだれもいない時は悲惨でした。
一人で入れ替えをしなければならず、一台ずつ近くの駐車場に停めたり、路上駐車をして何往復も行ったり来たりしながら車を入れ替えていました。
もし、前面道路が車通りの多い道路なら入れ替え作業をするだけでも一苦労でしょう。
旗竿地に住むといつかは車を2台以上所有して車を入れ替えないといけないときが来ると思います。
なのである程度はそのような不便を覚悟しておく必要があります。
お金はかかりますが、別で駐車場を借りるなどの対策をすることもできます。
最終的に私の家では両親の世帯で1台と私たちの世帯で1台、計2台を縦列駐車していました。(多い時は3台のときもありましたが)
結局、仕事で毎日入れ替えるのが面倒くさいので、父、母、私はみんなバイクで通勤するという変わったスタイルで生活をしていました。
駐車場の通路が狭い
通路(アプローチ)は車の横を通るのでどうしても狭くなります。
よっぽど広い路地でもない限りこのイラストのように片側に車を寄せて通路を確保する状態になるかと思います。
私の実家の場合は車をギリギリまで片側に寄せてバイクがなんとか通れるくらいの広さでした。
もっと狭い旗竿地もたくさんありますので、選ぶ際は気をつけてください。
「車が停められそうだから大丈夫」というわけではありません。
子どもが大きくなって自転車通学をするのに自転車が通れるほどの幅が確保できない。なんてトラブルも考えられます。
ある程度の余裕があるところを選ぶのがおすすめです。
ただし、ある程度の広さがあっても、車の横が通路であることに違いはありません。
私の実家のように自転車やバイクで通学通勤をしていると、どれだけ気をつけていてもハンドルやペダルなどで車に傷をつけてしまうことがあります。
私も何回もやりました。
自転車やバイクを使わなかったとしても、家に用事がある人は家族以外の人もみんなが通路として行き来しますので、知らない間に車が傷ついていることもよくあります。
多少車に傷がつくことは覚悟しておく必要があります。
我が家ではたまに車を洗車したりメンテナンスをしたりしていました。
路地が狭いので、片側の作業をしたら車を反対側に寄せて停めなおして、反対側の作業が終わったらまた停めなおしてと車をいちいち動かす必要があります。
特に車が好きで日頃から車をイジる方にとっては非常にストレスだと思うので気をつけてください。
車の乗り降りが面倒くさい
先ほどもお話ししたように、旗竿地の路地に車を停める場合、よっぽど路地が広いくない限り、通路を確保するため片側に寄せて停めることになります。
片側に寄せると運転席か助手席どちらかの人が反対側へ移動しながら乗り降りしないといけません。
雨で地面が濡れている時は濡れた靴で反対側の席まで乗り込むので、車内が汚れてしまいます。
小さい子どもを乗せたり降ろしたりすることも大変です。
通路が狭いと工事が大変
基本的に旗竿地の路地のスペースだけでは建設用のクレーン車は停められません。
周囲に空いてる敷地があればそこから材料を吊り上げて運ぶ必要があります。
また、ショベルカーなどの大型重機が入れない可能性もあるので、場合によっては工事費用が高くなることがあります。
我が家の場合は家を建てる時は隣が空き地だったのでそこにクレーン車を設置して建てたようですが、今ではその空き地には新たに家が建ってしまいました。
なので、今後大きなリフォームや建て替えなどをすることになったら、だいぶ苦労するかと思います。
また我が家の場合、庭と駐車場の間に石柱と門が建てられており、これが通路を狭くしています。
そのせいで小型のショベルカーも通りません。
本来であれば、外構工事や庭づくりをする時は路地の幅員をなるべく減らさないようにする必要があります。
門やフェンスを設置する時は移動や取り外しができるようにしておくべきでした。
そうすればリフォームをすることになった時や大きな荷物を運ぶ時などに便利です。
道路が狭いと駐車するのがさらに大変になる
旗竿地はただでさえ路地の部分が狭くて駐車するのが大変です。
それに加えて、道路の幅も狭いとさらに駐車が困難になります。
路地部分の幅だけを見て車を停められるか判断するのではなく、車の旋回範囲を考えて本当にその場所へ車を停められるか考慮する必要があります。
我が家の場合、前面道路は車がすれ違うことができないくらいの幅しかありません。
その上、厄介な位置に電柱が立っているので非常に停めづらいです。
土地を選ぶ際は不動産業者に許可を取って、実際に自分の車で停められるか試してみることが大切です。
そのとき、今乗っている車より大きな車に乗り換える可能性も視野に入れて試してください。
少しの大きさの変化でも停めやすさは大きく異なります。
一般的に言われている旗竿地のデメリットはどうだったか
ここまでは私が旗竿地に住んでいて特に気になったところを紹介してきました。
では、それ以外に旗竿地について調べたらよく出てくる特徴についてどうだったのか解説していきます。
一般的には「日当たりが悪い」と言われているが…
旗竿地のデメリットとして一番最初に挙げられるのが日当たりですよね。
我が家の場合は許容範囲でした。
というのも、南東側に庭のスペースが確保できていたので、ある程度は1階部分も日が入ってきました。
ですが、庭の日当たりはあまり良くなかったので、南側にスペースが確保できない敷地の場合は気をつけたほうがいいかもしれません。
それでも、先ほど「良かった点」で紹介した通り、旗竿地では道路から離れたところに家を建てるので、カーテンを開けていられます。
大きな窓があっても道路に面しているのでカーテンを閉めっぱなしにしているという家と比べると気持ちよく使えたと思います。
カーテンを開けておきたい場合は家を建てる時に隣家の窓の位置を考慮して窓を配置する必要がありますので気をつけてください。
一般的には「風通しが悪い」と言われているが…
こちらも我が家の場合は悪くなかったです。
我が家の周辺の敷地は高低差があり、北側と東側の隣の土地が1階分くらい下がっていました。
なので、周りが家で囲まれていても、土地に高低差があったので風通しは悪くならなかったです。
日当たりについても言えることですが、ひとえに「旗竿地」といってもその地域や周りの状況によって良し悪しは大きく変わります。
整形地でも日当たりが悪い土地もありますし、旗竿地でも快適に過ごせる土地はたくさんあります。
実際に現地に行って体感してみることが大切です。
また、現状の周辺環境は良くても後々変わることはよくあります。
我が家では南東側の隣家がもともと平屋で境界線から離れたところに建っていたので、旗竿地だけど日当たりがすごく良かったです。
ですが、住人が変わり建て替えをしてからは境界線ギリギリに2階建ての壁のような家が建ったので、洗濯物を干していた庭へほとんど日が入らなくなりました。
家の中に日が入る時間も短くなりましたし、圧迫感は比べ物になりません。
ちなみに、我が家が建った当時と比べると、家の周りにあった7軒のうち4軒が建て替えられ、1軒が新たに空き地に建ちました。
今の状態が良かったとしても周辺状況はすぐに変わります。
そのことを頭に入れて現地を見に行ってみてください。
ちなみに、私の実家の航空写真をトレースしてみました。
圧迫感ハンパないですね。笑
Googleマップで見てこれだけ圧迫感があっても日当たりと風通しはそこまで気になりませんでした。
Googleマップで下調べしてみても現地では違って感じることはよくありますので、ぜひ体感しに行ってみてください。
自分の家を持って思うこと
なんといっても「旗竿地」といえば「安い」
これに尽きると思います。
親から聞く話では私の実家も同じような条件の整形地と比べると安かったようです。
それに加えて毎年支払う固定資産税などの税金も旗竿地は土地の評価が低いので安いです。
土地の価格でいうと一般的に同じ広さや場所、条件の整形地と比べて旗竿地は15~20%ほど安いです。
やはり、「家」という超高額な買い物はなるべく負担が抑えられた方がその後の安心感が全く違います。
私も実家とは違うところで家を持ちましたが、実際に家を持って初めて実感します。
購入前は多少ローンが増えても素敵な家が欲しいなぁと憧れていました。
ですが、最新設備や大きな家ではなくても、多少質素で控えめな家だとしてもこだわりをしっかりと持っていれば、いろいろ妥協しても満足感の高い家を建てることができます。
安さだけを求めて家を建てることは論外ですが、旗竿地のようにある程度の妥協をしてもきちんと自分たちのこだわりを守れるように建てればきっと素敵なおうちになります。
家の周辺状況と同じで人生はいつ何が起こるかわからないので、できるだけ妥協して抑えられるところは抑えていくと住み始めてからの安心感と満足感につながっていくと思います。
結論、私としては「旗竿地」は全然ありです!
ぜひみなさんも「旗竿地」を選択肢の1つに入れてみてはいかがでしょうか。