結構似たようなコンセプトの会社も多いし。
今回はそれぞれの会社の工法や得意分野から選ぶのではなく、
現場監督としての目線で建設中の現場を見て良い会社選び方についてみていこうと思います!
この記事の目次
なぜ、会社選びで現場を見る必要があるのか
多くの人は住宅会社を選ぶときは、住宅展示場に行ったり、完成見学会に行ってその会社の家づくりのコンセプトや強みを聞いて選ぶという方が多いです。
もちろん住宅会社を調べることは重要です。
ですが、現場監督目線で考えると現場を見ることも非常に重要です。
なぜなら、現場には施主以外のお客さんは来ないからです。
見学会や展示場はお客さんに見せるための場です。
厳しい言い方をしたらお客さんに「建てたい!」と思わせて当然です。
そう思ってもらうためにその場を設けているわけですから。
それに対して建築現場には打ち合わせでお施主さんが来るだけで、住宅会社選び中のお客さんは来ません。
そのような場所の作業の仕方でその会社のレベルがよく現れます。
就職活動で
良い会社を見分ける方法に「トイレが綺麗かどうか見る」というのは有名ですよね。
会社の従業員しか使わず、すぐに汚れるトイレが綺麗ということは従業員の教育がきちんとされていて、その教育通りに行動できている。
そのようなことから会社の規律が守られている会社だと判断できるんですよね。
これは建築現場でも同じことが言えるんです。
建築現場の場合は住宅会社以外の職人さんも作業をします。
会社の従業員以外の人も作業する場所で規律を守らせることは住宅会社の教育や考えを理解してもらっている。と言えます。
いくら営業マンが
「うちの建てる家はこんなこだわりがあるんですよ!」なんて話していても、
その家を建てる職人さんがその住宅会社の考えに理解を示さず作業をしていたら意味がありませんよね。
私の知っている住宅会社の現場でこんなことがありました。
その会社はとにかく住む人の健康を考える天然素材にこだわる家づくりが特徴的でした。
しかし、現場の職人さんは工事中のお家の中で タバコ を吸うんです。
非常に残念ですよね。
いくらしっかりと家が完成しても、
その会社のレベルはその程度なんですよね。
その会社のお家は見た目はすごく良い感じでした。
しかし、工事の様子を聞くと、それ大丈夫なのかよ…
ということも多かったです。
完成見学会では見た目さえよく仕上げれば
工事中の様子はわかりません。
その会社の本当のレベルを見るためには
工事中の現場を見る ことが一番なのです。
良い会社とレベルの低い会社を見分けるには?
それでは私の経験から見る住宅会社選びのための現場の見かたを紹介します。
仮設トイレを見よう!
みなさんもどこかのお祭りやイベントで仮設トイレを利用したことはありますよね。
仮設トイレって臭くて汚くてあんまり使いたくないですよね笑
現場にはトイレがないので仮設トイレをレンタルして設置しています。
この仮設トイレを見てみましょう。
見てみると言っても敷地に入って中を覗くことはできないので 近くを通ってみましょう 。
きったない使い方をされている仮設トイレは扉がしまっていてもすごく臭います。
仮設トイレでも定期的に掃除されている場合は中に入っても案外ニオわないんです。
正直、レンタル品で汚くて臭い仮設トイレは掃除するのも嫌ですけど、
それでもきちんと周辺への悪臭低減やトイレ利用者のために綺麗に使用できてればレベルが高い現場ですね!
ちなみに仮設トイレの設置場所の広さにもよりますが、周辺への悪臭や見た目の不快感を減らすために敷地の外から仮設トイレが見えないように囲いをする場合もあります。
住宅会社の従業員ではない職人さんや業者の人はほとんど掃除はしませんが、もし職人さんが掃除していたら非常にレベルが高いです!
休憩中の喫煙の仕方を見よう!
先ほども少し紹介しましたが、現場でのタバコの扱いも見てみましょう。
ほとんどの会社では工事中のお家の中では当然禁煙です。
わざわざ現場監督が指導しなくてもこれは常識です。
お客さんにお引き渡しするお家でタバコは吸ってはいけない。
誰でもわかりますよね。
お客さんのお家だからというのもありますけど、火災に繋がる危険もあります。
現場には発火する木くずや石油系の断熱材もたくさんありますから、火がついたら一気に燃え広がります。
現場でタバコを吸う場合は喫煙スペースとして灰皿を設置している現場や現場内は禁煙として車の中でのみ許可している場合が多いです。
灰皿が設置されていない場合でも必ず外でお家から離れた場所で吸うのが最低限のマナーですよね。
一部の職人さんの中には「日が当たって暑いから」とか「雨が降ってるから」とか理由をつけながら工事中のひさしの下やお家の中でタバコを吸おうとする人もいます。
100歩譲って、気持ちはなんとなくわかりますけど、そこには「お客さんのお家を建てている」という誇りは微塵も感じませんよね。
ただ毎日やっている作業の一つとしてこの家を建てるだけ。と感じてしまいます。
そんな人に大切なお家を建てられるよりはきちんと現場での喫煙ルールを守って、お客さんのためを思って仕事をしてくれる職人さんにお家を作ってもらいたいですよね。
現場の中は毎日キレイか見てみよう!
これは言わずもがなという感じですが、住宅会社のレベルを判断する上では重要です。
とくに、毎日 キレイかどうかが重要です。
現場では多くのゴミが出ます。
これは仕方がないです。
木材を切った時に出る木くずや端材、壁の石膏ボードを貼る時は石膏の粉がたくさん出ます。
材料が運ばれてくると梱包材もたくさん出ます。
作業中に一時的に汚くなるのは仕方ないです。
この汚い状態がいつまで続くのかが重要です。
1日の作業終わりに掃除をしてキレイにしてから作業終了としているか。
これは最低条件ですね。
ハイレベルな会社では作業の合間合間でこまめに掃除をします。
(ハイレベルな会社というよりはレベルの高い職人さんと言った方がいいかもしれません)
こまめに掃除ができる職人さんはこまめに掃除をすることが良い仕事をする上で当たり前だと言います。
片付けは現場をキレイにするだけではありません。
片付けをすることで作業効率も上がり、間違いやミスも減ります。
何より、ケガのリスクを減らすことができます。
工事中の現場は危険がいっぱいです。
例えば、
・木材が散らかっていることで踏み外して二階から転落してしまう。
・作業台の上が散らかっているけどそのまま丸ノコで木材を切っていたら、端材にコードが引っかかり指を落としてしまう。
・床に材料が散らかっているけど気にせず脚立を建てて作業をしていたら脚立が倒れて頭を打って入院してしまう。
などなど、お客さんからしても自分の家でケガをされたくないですよね。
なによりそれが原因で職人さんが入院したり工事停止をされて工期が延びたら、一番迷惑をかかるのはお客さんですから。
掃除をせずに汚いごちゃごちゃした現場で仕事をしている職人さんよりも
現場をこまめに掃除して道具もキレイで丁寧に使っている職人さんの方が絶対いいですよね!
外がキレイかどうかも見てみよう!
お家の工事中の現場はほとんどの場合、まだ舗装などはしていません。
お家の工事が終わってから外構工事をする場合がほとんどです。
そのためお家の工事中は基礎工事の時のまま土があらわになっている状態です。
整備がされていないからキレイじゃないということではないので気をつけてください。
家の外壁や屋根など外側の工事をするときも色々なゴミが出ます。
外壁の下地を作る時の端材や外壁材の端材、防水のための透湿防水シートやアスファルトルーフィングの端切れなど、作業の都合上、下に落としておくこともあります。
それをきちんと片付けているのかが問題です。
お家の中は片付けていても外を片付けない職人さんは結構多いんです。
外を片付けないと何がまずいかというと、
外での作業は結構、釘やビス、カッターの刃、タッカーの針(ホッチキスの芯の大きいもの)など危険な物を落としてしまうことが多いんです。
敷地の外から釘が落ちていないか探すのは難しいですが、材料の端材が落ちていないかは見ることができます。
はっきり言って材料の端材すら片付けない人がそれらの釘などを拾っているとは考えにくいです。
釘などをきちんと拾っておかないと、そのまま外構工事でお庭を作ってしまいます。
工事中に片付けられなかった釘やカッターの刃のせいで、お家の庭で遊んでいた お子さんがケガをしてしまう 危険があるんです。
お客さんにとっては当たり前のことでも工事現場ではきちんとできていないことも多いんです。
きちんと分別しているか見てみよう!
現場には産業廃棄物のゴミ捨てボックス(以下、産廃ボックス)が置いてあります。
そのゴミをきちんと分別されているか見てみましょう。
最近では分別は当たり前になっていますが、あやしい現場もあるのでチェックして置きましょう。
ただ、現場によっては分別しなくてもいい産廃業者を利用している会社もあるので一概には言えないので気をつけてください。
分別が必要な現場の場合は産廃ボックスに分別の種類が表示してあります。
写真の場合は大きな産廃ボックスが一つしかないので分別しなくても良い混合廃棄物です。
産廃ボックスの手前にある薄橙色の袋は壁や天井の下地で使われる石膏ボードを分別して捨てています。
少し内容が変わりますが、
端材が 大量に 捨ててあるような現場の会社も要注意です。
端材と言えど、その材料をお金を出して購入している人は お客さん だからです。
お客さんが住宅会社に支払ったお金から材料購入し工事で使用しています。
端材のゴミが多いということはお客さんが 買わなくてよかった材料を購入 し、捨てている ということです。
材料費だけではありません。
廃却費も 余分にお客さんが支払わされているのです。
これは職人さんの技量も大きく影響しています。
全ての材料に対して現場監督が端材が出ないように材料の使い方を指示していくわけにいかないからね。
私の知っている工務店では産廃ボックス自体を設置していないという会社があります。
工事を進めていく全ての業者に自分の出した端材やゴミは全て自分たちで持ち帰らせているのです。
業者さんたちは自分たちでなるべくゴミを持ち帰りたくないので木材などの端材をほとんど出さないそうです。
自分たちで、使う材料の切り出し方を考え、必要になる材料を計算し、端材を出さないようにしていると言っていました。
元現場監督の私からすると、この工務店は相当ハイレベルです。
それを可能にする業者さんのレベルも高いですが、
その工務店のやり方を全ての業者 理解 させて 実行 させている工務店のレベルが高いです。
中途半端な教育では
「端材になった材料を捨てる」と言って、まだまだ使える材料を持ち去られる可能性だってありますから。
このやり方を継続的に当たり前にやっているこの工務店に感動したことをよく覚えています。
あくまでも端材を大量に捨てている場合はレベルが低い可能性があるということです。
どうしても設計内容やデザイン性の問題で端材が出てしまうことが仕方がない場合もあります。
それでも捨てている材料はお客さんが払っているお金なので、そこは理解しておく必要があります。
外に置いてある材料の保管の仕方を見てみよう!
外壁の工事が終わるまでは外に木材や外壁材が保管してあることが多いです。
外に保管すること自体は問題ないのですが、その保管の仕方を見てみましょう!
材料にはブルーシートやビニールを掛けて雨や埃が当たらないように保管します。
外に置く材料は基本的に濡れても影響のない材料を置いていますが、できるだけ濡らしたくはありません。
そのブルーシートがきちんとキレイに掛けてあるか確認してみましょう。
ブルーシートを掛けていても、ブルーシートにシワが寄ったり、たるみがあると雨が降った時にそこに水が溜まり、
結構染み込んで中の材料は濡れていることが多いです。
また、ブルーシートの中の材料をきちんと整理してブルーシートを掛けないと、ブルーシートがたるみ雨が浸みてきてしまいます。
そして、掛けてあるブルーシート自体がキレイか見てみましょう。
ブルーシートを繰り返し利用することはありますが、汚れた ブルーシートを材料に掛けてしまうとその材料も汚れてしまいます。
そのブルーシートがストッキングのように何かに引っ掛けて断線したり、破れていないかも見てみましょう。
ブルーシートが材料に引っ掛かったり、無理やりめくったりしているとそのような状態になります。
はっきり言ってガサツな現場ではすぐにブルーシートがボロボロになります。
もちろん作業中はブルーシートがめくってある場合もありますし、
掛けっぱなしにすると中で材料が蒸れてしまうのでブルーシートを取っている時もあります。
そのようなときはめくりっぱなしではなく、キレイに畳んでしまってあるといいですね!
現場の土地の周りはキレイか見てみよう!
先ほどの「外がキレイかどうかも見てみよう」と少し内容は被りますが、
外壁などの工事をしている時、
ゴミが現場の 隣の敷地 に落ちているような現場を見かけることがあります。
隣の敷地に落ちてしまうような作業をしていることも問題ですが、
掃除をしていないことがバレバレの現場ですね。
現場の作業員さんだけではなく、現場監督が目を光らせていないといけないことですから、これは非常に問題ありです。
また、現場の前の道路や側溝が砂だらけになっていないか見てみましょう。
現場はまだ舗装がしておらず地面の地肌が露わになっていることが多いです。
現場内をキレイにするのは当たり前ですが、
現場の周辺に気が使えない現場では道路に泥のついたタイヤの跡が残っていたり、雨で側溝に砂や砂利が流れ出ていることがあります。
工事をしていると業者の車やトラックが頻繁に行き交うようになり、騒音や振動で近隣住民の方には迷惑を掛けてしまいます。
工事を進める上では仕方ないことも多いですが、防げることはしっかりと防いで近隣住民の方に最小限の迷惑に抑えないといけません。
まとめ
お客さんからしたら当たり前な話のように感じる内容も多かったかもしれませんが、ぜひ確認してみてください。
結構できていない現場が多いですから。
そんな当たり前と思えるようなことくらい当たり前にやってくれる会社で大切なお家を建ててほしいですよね。
良い現場の住宅会社でも全ての現場で良い現場の工事しているとは限りません。
現場を担当する現場監督によって業者さんの仕事のやり方が変わることもあります。
厳しい言い方をすると、現場監督がナメられていると、職人さんもそのような仕事をします。
なので、気になる会社で良い現場を見つけたら、現場の場所と名称をメモしておきましょう。
契約する時に「××市△△町の○○邸の現場の監督さんに見てもらいたい」と伝えればすぐに現場監督が誰かわかりますからね。